Story-case02

鉄骨という常識を覆す、
サステナブルな素材への挑戦

2019.10|ハードストック富士

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工期と予算

数年前までは、規模の大きな倉庫や店舗等の建物は「鉄骨造」で建てることが当たり前でした。2022年の現在でも、その割合に劇的な変化はありません。何故なら鉄骨造は

等の特徴があるため、中大規模の建築物には合理的な構造なのです。

静岡県における店舗・倉庫の構造別割合

しかし近年は東京オリンピックによる国内需要や海外需要による輸入量の減少による影響で、建築用鋼材の不足・価格高騰といった問題が起きていました。ハードストック富士のお話がわたしたちの元に来た時も、まさにその問題の渦中にありました。

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「当たり前」への挑戦

「ハードストック」は株式会社エンチョー様が展開する、建築金物や道具・工具を専門的に揃える、静岡県下最大級のハードウェア専門店です。扱う商品の大きさにかなりの差異がある為、広々としたスパンと天井高での設計を求められます。今まで他店舗を建設する際も、総合的な判断から鉄骨造を選択していました。

しかし先述した通り、鉄骨造では鋼材調達状況による不確定な工程や価格高騰など、出店への投資回収効果が保てないことは明白でした。
その時の建設資材の物価、工期など、どのように最適を実現するのか。わたしたちは、今やるべきは木造が最適だと考えました。

ただ規模の大きい木造建築は、前例が少なく、意匠計画と並行して木造ならではの構造計画や設備計画を検討し、適切なコスト感覚であったり、材料・加工や工程の知識を把握している必要があります。

また、施主であるエンチョー様の理解を得ないことには実行はできません。企画段階からお客様の納得のいく資料を用意し、鉄骨造と比べてどうメリットがあるのか、検討させていただきました。

「当たり前」への挑戦

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最大限の工期とコストの削減を

エンチョー様にもご理解をいただき、中大規模木造建築の実現に向けて本格的に動き始めます。
建設地である静岡県富士市には豊富な木材資源があり、またそれを加工する業者も揃っています。
地場の資源、地場の業者、そして地場のブランド木材である「富士ヒノキ」を使用することで、より地域社会への貢献・還元になるように計画しました。

富士ヒノキ
富士ヒノキ 富士ヒノキ 富士ヒノキ

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経済性を保ちながらも

設計者として、経済性は保ちつつお客様の不安に思う部分も取り除いていかなければなりません。「木造」ときくと、耐火・耐震等の面で鉄骨造よりも劣るイメージだと思われます。

耐火に関しては軸組不燃の準耐火構造を採用し、主要構造部に対して15mmの石膏ボードを耐火被覆しました。木部は隠れてしまいますが、コストをかけずに耐火性能を上げることができます。

耐震性能は重要度係数を公共施設と同等の1.25倍で計算しています。さまざまな人や物が出入りする場だからこそです。

ゆたか建築設計事務所は、お客様納得の上、最適の実現を目指します。

より良い最適を実現 より良い最適を実現 より良い最適を実現
ご希望と予算に添う土地もお探し致します
地域の資材を利用することで
地域にも環境にも責任を持ちます
用途変更もお任せください
一級建築士は勿論のこと
構造設計一級建築士も在籍しています
様々な要素を考慮して最適の実現を致します
様々な要素を考慮して
最適の実現を致します

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インタビュー

低層非住宅木造建築の将来について

中大規模木造設計の第一人者である、東京大学大学院農学生命科学研究科の稲山正弘教授と、この度設計したハードストック富士のような『低層非住宅木造建築物』について対談させていただきました。

稲山正弘氏

東京大学大学院農学生命科学研究科教授稲山正弘

1990年稲山建築設計事務所(現・ホルツストラ)設立。構造設計一級建築士。木質構造研究会会長、中大規模木造プレカット技術協会代表理事。

http://www.inayama.net/

取材日時:2022.6.21(構成・撮影/株式会社富士)

本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、『低層非住宅建築物を木造で建てる意義』について稲山先生にお伺いしていきたいです。

稲山正弘教授(以下 稲山)低層非住宅木造建築は、日本社会において、環境面と経済面の2つの要素で良い効果を生みます。

環境面では、古い木を伐採し建材として大量に活用することで森林全体を若返らせることができます。森林が若返れば、二酸化炭素の吸収を高めたり、土砂災害を未然に防いだり、土壌の保全に繋がります。

しかし現在、人口減少により大量に木材を消費できる機会が少なくなっていることが事実です。森林の環境を維持するためにも、木材を大量に活用できる中大規模の店舗・公共施設等の建設に利用していく必要があります。

経済面では、地域材を活用し地域のプレカット業者で加工することで、その地域で経済を循環させることができ、輸送コストも削減することができます。

ホルツストラ主宰 稲山正弘氏

森を若返らせることが私たち自身を守ることにつながっているとは思いませんでした。中大規模建築物を木造で建てるケースは増えているのでしょうか?

ゆたか建築設計事務所 吉永(以下 ゆたか)低層非住宅の中大規模建築物となるとまだまだ鉄骨造が主流です。しかし、鋼材価格の高騰や調達が不安定等の問題も生じています。まさに今回のハードストック富士では鋼材価格と納期が理由で、鉄骨造ではなく木造を選択した経緯があります。

稲山非住宅で不特定多数の方が使用する建物だと、建築基準法で特殊建築物にあたります。そのような建物は防耐火の法規制が厳しくなります。木造だと不利になるため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の方向になってくるのだと思います。

ハードストック富士では、耐火性の問題はどのようにクリアしましたか?

ゆたか準耐火構造として木部を現しにせず、石膏ボードを巻いて対応しました。そのため、目に見えた木造らしさはなくなってしまいましたが、経済性を最重視して対応しました。

稲山一般的に普及している木造住宅も、構造体である木部は殆ど現れていませんよね。ボードで覆うことで、耐火性能も確保することができます。住宅と同じやり方を非住宅にも活用できれば、鉄骨よりも安く早く建てられます。逆に木部を活かした意匠にすると、コストパフォーマンスは下がります。経済性を突き詰めていく場合には、今回のやり方は大切だと思います。

ホルツストラ主宰 稲山正弘氏

木を現しで見せるとなると、高くなってしまうのですね。他に高くなる要因としては何が考えられますか?

稲山鉄骨の経済スパンで考えた意匠・構造をそのまま木造に置き換えると、自ずと高くなってしまいます。一般流通材は元々住宅用に作られており、製材だと4m、集成材でも6m程度になります。単純置き換えだと全ての箇所にトラスをかける必要が出たり、大断面集成材が特注で必要になってしまうので、かなりのコストが増してしまうと思います。

最初から木造ベースで経済的に成り立つように計画をしていれば、十分勝てます。一般流通材と住宅用プレカット材を活用して、4mの木材で10m程のスパンの屋根を作ることも可能なんですよ。私が代表理事を務めている一般社団法人中大規模木造プレカット技術協会(PWA)では、そういった技術の公開や支援を行っているので、ぜひ活用してみてください。
一般社団法人中大規模木造プレカット技術協会(PWA) https://www.precut.jp/

今後、ゆたか建築設計事務所のような意匠設計に期待する事は

稲山非住宅建築物を木造で検討していただきたいです。そして、こうした機会を増やして、どんどん木を利用していただきたいです。地域経済の循環により、環境問題も改善されることを期待しています。

ゆたか私たちの住んでいる地域には地域材である富士ヒノキがあり、林業、プレカット、設計事務所、建設会社、大工さんなど、地域で循環できる土壌があります。経済も地域で回していける環境に身を置いてる責務を、今後も全うしていきたいと考えます。

とても貴重なお話を、ありがとうございました。

ホルツストラ主宰 稲山正弘氏
ハードストック富士

ハードストック富士

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